キャベツが無性に食べたくなって、とんかつの和幸に入った。
注文時からキャベツ大盛りにする。なんとここは、キャベツ、シジミ汁、御飯のお代わりは無料なのだ。お茶も急須に入ってくる。
そして客あしらいもよく教育されている。客は気難しそうな年齢層だ。もちろん若い人もいる。とにかくどんな文句や注文があっても笑みを浮かべたまま受け入れる。おかげでこちらは自分の世界だけで食事を楽しめる。
そのはずだったが今回はちがった。椅子が対面にある二人掛けの席だった。右横もそうで近い。食べはじめたときだった。若いが職なれしたビジネスマンがそこに着いた。カバンを置き、コートだけでなくスーツの上着を脱ぎ、ネクタイまで外した。また、それをきれいに畳んだ。
ここまでは感覚でわかった。たいして気にもしなかった。キャベツの大盛りを先に食べたあとおもむろにきつね色のトンカツに箸をつけた。そのときだった。鼻歌が聞こえ出したのだ。横のビジネスマンだ。スマホをタップしながらご機嫌だった。
何かいいことがあったのかスマホを置いても鼻歌は止めなかった。だんだん耳ざわりになってきた。鼻歌に上手い下手があるのだろうかとそのときおもった。これまで考えたことはなかったが音痴の自分でも鼻歌は下手ではないだろう。反対意見がでるかもしれないが。
ややして、うるさいなあ、とおもいだした。なんとか止めてもらうことできないかとモグモグとしていた。そうトンカツに集中したいのだ、こちらは。
ふと、ある方法を思いついた。それが可笑しくて、くすくす笑ってしまった。
それをスタッフに話したら笑いが盛り上がってしまった。
長くなったので明日に!