銀座の老舗バーに立ち寄った。

バー「テンダー」
探すのにちょっと苦労した。

いつものことだ。
意外にも、いや銀座は親切な人が多い。

お店の従業員だと思うが、外にいたので、尋ねたら、自分の店の客の案内にダブってしまったが、「待っててください、すぐ来ます」とエレベーターで客を連れ昇っていった。

数分して降りてきた。そのまま表に出て探してくれた。「たしか、あのビルの中ですよ」

助かった。

と、また女性が彼に尋ねていた。それも嫌な顔しないで案内していた。

バーの話しだ。
目指すカクテルは、グラスホッパー。

最初は、マティーニを頼んだ。
色味が濃かった。

二杯目に、グラスホッパーを頼んだ。
テレビで見て飲みたくなって、といったら、ああ、あの番組ですね。きっと自分みたいのが多いのだ。

三人の若いバーテンダーがいた。一人はカウンター真ん中の客の相手をし、もう一人は出口のところで背筋を伸ばして立っていた。

岩手出身という青年がカクテルを作ってくれた。オーナーの姿はなかった。

グラスホッパーはテレビで見たほど綺麗なブルーではなかった。

ペパーミントの味がさわやかに広がった。

つぎに、オススメを聞いてみた。

間があった。
彼は言った。「レインはどうですか」

映画「ラストエンペラー」のとき音楽を担当した坂本龍一とのおしゃべりから生まれたカクテルだという。

バーテンダーがこのカクテルを勧めたのには伏線はあった。