旅  その5

BAR 2軒目

二日目の夜、旅館の料理に満腹。泊まって気づいた。大満足だがこのあと外に出ても何も食べられないことだ。午後8時迷ってるとせっかく祇園にいるのだからお出掛けになったらどうです、と仲居さんに言われて出た。夜風と白川の風が気持ちいい。さてと、と迷っていると、出勤する祇園のホステスさんたちとすれ違う、薄い衣で作った肩を大きく出したドレス姿を見送るとみんな同じ方向に行く。なぜだろう。銀座やススキノでみたことない雰囲気だ。路上看板で亡くなった妻の旧姓の店名のBARに出会う。ここにしようかと思ったが、横の路地をのぞくと暗い奥に小さな行灯が浮いて光っている。BARとあった。引かれようにそこに向かった。入ってまずかったかと思った。小さなカウンターにグラスが乱れ、マスターもひどく疲れた様子だった。ちょっと前に一悶着あった気配が濃厚に漂っていた。