朝から予定が狂ったりイマイチの流れだった。それが歯科医院で一変した。先生が小さな通る声で「<グランシャリオの涙>とてもよかったです」と言ってくれたのだ。治療席で仰向けになって埋めたものの乾きを待つため口を開けていた。こちらは、「あ、、り、、がとお、ござゃ、います---」なんて言うしかなかった。先生は続けた。「文章すごくうまいですね。それに素敵な話しで、ラストには驚かせられました」治療席で天井に向かってまた唸るようにお礼を言った。「これまで雑誌しか読まなかったのですが、<グランシャリオの涙>を読んでから小説に興味をもってしまい何冊か読みました」最上の褒め言葉だった。対面していなくてよかった。顔は照れ臭ささでいっぱいだったろう。さらに「映画になって欲しい作品ですね」とも言ってくれた。

次に以前書いた「その一発」という北海道小樽の祝津沖で起きた開拓使黒田清隆の砲撃事件の短篇の話しになった。それも褒めていただいた。そして北海道の歴史、黒田清隆の人物像の話しになった。

<長くなりそうなので、つづく、にします。>

イクラの写真は、その夜、親しい方と持った酒席の〆丼。このときの話しも、後で。