小さな祭りだ、すぐ見終わる。脇ではのど自慢をしている。こちらのように男ひとりで見ている人間はいない。友達とつるんでる中学生たち。楽しむのはせいぜいこのくらいの年代だろうと思っていたら、一人の女子高校生に挨拶された。数人のなかから一歩出てだった。こちらも挨拶した。小学校に上がる前から家のまえで挨拶してきたハーフの子で、こちらを見つけると声をかけてくる。たまにしゃがんで話しこんだこともあった。子供相手の気楽な雑談だ。あっと言う間に背と脚がのび美人になった。

ついこの間、路上で超ミニの制服姿のその子に出くわした。おっ、と思った。なんだかうれしそうだった。それからスーパーで会ったときわざわざ身をもどして大声で挨拶してきた。こちらは主夫然と魚をみていたので、素っ気なく返してしまった。それ以来だった。他人のおじさんと親しく会話や挨拶するのはきっと何か大人びた自信につながるのだろう。自分もそうだった。

そう言えば、ひと月くらい前に、コンビニの女子から社に突然電話があった。こちらとの会話の中でよく励まされ、そのことでとても自信がつき無事いい会社に就職できた。それで一言お礼を言いたくてと言った。ここしばらくは本部に回されたのでそのコンビニにはいなかったと言った。社のスタッフへの差し入れのときよく領収書をもらう。それで電話番号を調べたのだろう。今はすこし緩んだがマニュアルだけの言葉が嫌で、ちょっとイレギュラーの言葉を投げかけてからかっていた。悪い人間だ。それがきっかけでコンビニの学生男女と親しく会話するようになっていた。電話の子に名前を訊かれた。緊張してつっかえながら、名を言った。そうとう嬉しかったのだろう。こちらの存在も耐えられないほど軽くはなかったのだ。

しかし、汗が出た。まるでちょっとしたドラマのような話しだ。現実に悪い話しはごまんとある。気持ちのいい話しもあるのだ。もうこの女子とは会うことはないだろう。ハーフの子も来年は就職すると言っていた。あと出会うのも数回だろう。さみしいが、そう、さよならだけが人生だ。