大型家電店の店員の彼はテキパキと応対処理してくれた。いまどこでも店のアプリをダウンロードさせ登録させる。今回は配送料金の500円が無料になるという。大概、こちらができないと思い、スマホの画面をみて色々と口出し手を出してくる。彼もそうなりかけた。だが、こちらの指捌きを見て身を引いた。あんたが産まれる前からコンピューターはいじっているのだぜ、と頭の中でそう思いながら指を走らせる。以前登録してるかも知れませんから新規でなく、ID、パスワードから入ってみてください、と言ってきた。当然、覚えていない。だが、自分なりの法則を決めているのでやってみたら、すんなり入れた。すでに会員登録してあった。店員はこちらの動きをみて慌てて書類を作成しだした。しかも、大しておせっかいもしてこなくやりやすかった。最後にレジにいきカードで精算した。こちらは、礼を言って立ち去りかけて店員に目をやったら、彼は黙ってこちらを見ていた。頭も下げない。そうだ、この店の店員はこんなのが多いのだと思い出した。売れているからこうなのか、人員が足りないからこうなのか、いつも後味の悪い思いをする。また、ちょっと振り返ったら、まだ石のお地蔵さんみたいにじっとこちらを見ていた。いや、石のお地蔵さんには微笑みがある。たとえが違う、か。今度は、愛想のいい大型家電店でと思うのだが、近いし、そうそう家電の買い物はしないので、以前のことは忘れてつい寄ってしまう。よほどこちらがいい男なので、ぽおっとしてしまうのだ、と考えて後味の悪さを消すことにしている。笑。