彼女にカクテルを作ってもらった。9ヶ月ぶりだった。前の職場を退職し海外に行っていた。新しい職場のBARに突然訪ねた。自分がその夜都合がよかった。港が望めるBARで、こちらを見るなり笑顔になった。もう職場に慣れたころだろうと思った。ビール二杯の後、freezingハイボールというものを勧められた。旨い。お代わりもした。おまかせカクテルを作ってもらおうとしたら、団体客がなだれ込んできた。それでも彼女は手際よくちょっと照れ臭そうにシェイカーを振ってくれた。団体客の酒をまとめて作りそのグラスを盆にのせスタッフに渡す。また他の客のカクテルを作り、ウイットの利いた会話をする。もたもたすると酒の味が落ちるものだ。彼女の場合それはない。独特の笑い声に久々にほっとした。